ぼくのざっきちょう

留年生の楽しい日常

【漫画】ブレーメンⅡという名作のお話をしよう

こんばんは。

今日は川原泉の名作漫画『ブレーメンⅡ』の紹介をしたいと思います。

 このブログ、なんとなく映画の話題が多くなっていますが、本来的に僕は映画より漫画に触れている時間の方が長いです。漫画は小学生の時にあだち充の傑作『H2』を読んで以来ずっと好きです。映画は大学生になって暇すぎてよく見るようになったので。

というわけでさっきまで読み返していた『ブレーメン』という漫画のお話でもしようかと思います。

21世紀後半、宇宙開発に乗り出した人類は活動範囲の拡大と、20世紀から続く少子化の傾向が相まって人手不足に陥っていた。それに対しワシントン条約によって動植物は大変手厚く保護され、絶滅の心配など無用になっていた。こんな中、ある科学者が、動物を人間の体格に合わせ・喋り・二足歩行をし・かといって各動物の特徴は残し…という研究を行った。その研究は成功をおさめ、人手不足は解消されつつあるのである。彼らはブレーメンと呼ばれ、ブレーメンを乗組員とした輸送船「ブレーメンⅡ」はキラ・ナルセ船長(人間)のもと出航する。しかし行く先々で様々なトラブルに見舞われるのである。

 

この漫画の面白さ

この漫画は、普通にSFをしています。宇宙へ渡り、そこで出会う奇妙な宗教を持った人々、恐るべき奇病、凶悪な犯罪者…そういったモノへの対峙・対決。仲間が陥るピンチへみんなで協力して助け出す…単純なアドベンチャー漫画として見ても面白いと思います。しかしこの漫画の面白さはそれだけではありません。

この漫画ではブレーメンと呼ばれる働く動物たちが出てきます。この漫画は、彼らがまだ人間世界に入ってきたばかりの時代を描いています。そのため、彼らを受け入れる人間側には、まだまだブレーメンに対する偏見があります。この漫画の主人公であり、人間であるキラ船長も例外ではありません。出航の前には、「豚に真珠」「猫に小判」といったことわざはブレーメンに対し、不適切であるというレッスンを受け戸惑う様子が描かれています。そして実際に出航していったあとも、人間とブレーメンの様々なギャップを感じ、ショックを受ける。そしてショックを受けた自分の偏見を恥じ、成長していく様子が描かれています。

この漫画では人間と、ブレーメンたちのギャップとして描かれていますが、これは現在のグローバル化・ボーダーレス化の時代に置き換えることができるのではないでしょうか? そんな風に読んでみてもこの漫画は面白いと思いますよ。

 

この漫画の気になる点

この漫画の面白さでもあるのですが、ブレーメンたちに対する人間側の考え方は様々です。もちろん受け入れる人・動物愛護の観点からブレーメンに反対する人・偏見を持ってブレーメンを排除する人…そのどれもそういうこともあるだろうなぁ、と思います。

しかし「ん?」と感じることもあります。それは、動物たちが人間に対し異様に肯定的なこと。あるストーリーでは人間嫌いのブレーメンも出てきます。しかしそれは虐待を受けていたからです。ブレーメンⅡの乗組員は善良です。それはもちろんブレーメンⅡの労働環境が良いということがあります。しかし、それだけではないだろう、なんなら気持ち悪くない?と思ってしまうほど人間にフレンドリーなのです。

ブレーメンたちは、人手不足の解消という人間の勝手な都合で改良されブレーメンになったといえます。それであるのに、ブレーメンたちは人間に雇ってもらえることが嬉しい、誇らしいと言います。自分たちを開発した科学者をお父さんと呼びます。この科学者も善良な目的で持ってブレーメンを開発した、その後もブレーメンたちを非常に気遣っているんだ、という描写が成されています。しかしここに僕は違和感を覚えます。はたしてこの科学者は本当に善良と言っていいのでしょうか?動物を改造し、働かせる…マッドなサイエンティストがやることではないのでしょうか?

そう感じてしまうのですが、そのような描写はほぼなく、この研究は議論を呼ぶものであったが結果的にOKなんじゃない?みたいなナレーションの一行で済まされてしまうことがこの漫画の気になる点です。

 

まとめ

面白さと、気になる点。一応両方記してはおきますが、基本的には僕はこの漫画は好きです。ストーリーは宇宙のアドベンチャーであり、ワクワクします。キャラクターに働く動物たちと人間を置き、そのギャップもテーマの一つとして扱っていて、読み手にも考えることを要請します。あー面白かった、だけで終わらない良さがこの漫画にはあると思います。

 

その他

この漫画の主人公であるキラ・ナルセは、同じ作者の『空の食欲魔人』という文庫本に収録されている『アンドロイドはミスティー・ブルーの夢を見るか?』という短編の主人公でもあります。『空の食欲魔人』は短編集ですが面白い話が集まっているのでおすすめです。

また川原泉の『レナード現象には理由がある』『コメットさんにも華がある』は同じ高校を舞台にした連作短編シリーズです。こちらも大変面白く、ラブコメといっていいストーリー(お互い気になるかな?くらいまでの軽いもの)なので、SFはちょっと…という人はこちらがおすすめですね。

 

今後もちょくちょく僕の好きな漫画についても書いていこうと思います。

では